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本文へジャンプ 2005年4月5日更新 

 

最近の話題から

メディア・リンクスの粉飾決算について(2004/11/23)

 メディア・リンクスの社長が有価証券報告書の虚偽記載で大阪地検特捜部に再逮捕されました。ライブドアやソフトバンクが関係していたということで、日経新聞等ではかなり大々的に報道されています。
 EDINETで有価証券報告書を見ると、確かに売上高が異常に伸びています。報道によれば
     粉飾手口は、情報システムやソフトウエアなどを売買したように偽装。
     メディア・リンクスが代金として現金を振り込み、取引先企業が手数料を差し引いたうえで
    別の会社に振り込み直し、資金は最終的にメディア社に還流していた
とのことです。社会正義がどうしたこうしたという話は別の機会におくとして、この手口についていえば、じつは一番厄介なケースです。
 あまり大きな声では言えないのですが、会計監査が一番弱いのはサードパーティーとキャッシュ・イン&アウトなのです。私もこのケースに遭遇したことがあるのですが、何故粉飾が発覚したかといえば、会社が法人税を払えなくなり、仮装経理による更正をかけたからなのです。詳しい手口についてはまた書き込む機会があるかもしれませんが、相手がサードパーティーであるため、何らかの手数料の支払いが生じるのが通例で、しかも還流の途中に生じるリスクは粉飾会社が全面的にかぶらざるを得ない、というばかげた話です。相手側では売上と仕入が両方計上され、差額が利益となりますから、何らやましいところのない取引になって、坊主丸儲けなのです。
 IT業界のモラルがどうこう言われることと思いますが、『ころがし』『丸投げ』は実際のところ建設業界ではよく見かける取引のパターンで、資金を還流させる点だけが粉飾の意図を明確にするものです。しかしこの資金の流れは自白か強制捜査以外でトレースすることは殆ど不可能です。
 ではメディア・リンクスのケースはどうか、ということになりますが、まあ、あそこまで極端なケースの場合、やはり大証も監査法人も、何かすべきだったとは思います。

時の話題とはちょっと違いますが(2005/02/09)

 平成17年1月29日、静岡信用金庫で「粉飾決算 その具体的手口と見抜き方」という題で、職員向けに講演を行いました。このサイトでも書いているように
  @粉飾決算の方法は無数にありますが、実際に行われている手口はそう多くない
  A書面だけで判断するのではなく、現場に出向いて会社を肌ですることが大切
という点を中心にお話しました。
 興味がおありの方は何なりとお問い合わせください。

不公正な株取引について(2005/02/28)

 ライブドアによるニッポン放送株式の、立会外取引による買い付けに端を発した騒動が、連日メディアを騒がせています。この買い付けや、ニッポン放送のフジサンケイグループへの新株予約権授与についての「識者」の意見は「手続き的には違法とは言えない」といったものが多いのですが、ちょっと感覚的に納得行かない皆様が多いのではないかと思います。
 証券取引法には、その第157条以降に株取引についての様々な規制があります。具体的には
    不正の手段、計画又は技巧、虚偽表示、虚偽の相場の利用の禁止
    相場の変動を図る目的の風説の流布、偽計、暴行若しくは脅迫の禁止
    仮装売買、通謀による指値売買の禁止
    インサイダー取引の禁止
などで、これら全てについて罰則が規定されています。証券市場の公正を図るため、厳しい規制を設けているのです。
 捜査機関にいた私の感覚では、手続き上の問題よりも、行為の意図の方が問題ではないかと思います。つまり
    不正の意図、相場操縦の意図
が明らかな取引については、現時点での手続き上の違法性のみではなく、全体の流れの中で違法性が問われてしかるべきではないかと考えます。